サカナは本の虫

読書記録をつけたりつけなかったり…ネタバレはしないようにしてる

χの悲劇 The Tragedy of χ /森博嗣

Gシリーズの10作目。
後期三部作(χの悲劇、ψの悲劇、ωの悲劇)の1作目で、シリーズの転換期らしい。

実際読み進めるとその通りで、
前作から時間も相当経っており(30〜40年ぐらい?)、また、登場人物もすべてがFになるなどで出てきた島田文子が主人公で、他は初見だった。

本編は、Gシリーズの特徴といえる、真賀田四季の影が感じられるような感じられないような話。森博嗣が明言しているように、百年シリーズ、Wシリーズへと繋がっていくような雰囲気が見られた。

エピローグが衝撃的だった。

サイタ×サイタ EXPLOSIVE /森博嗣

『あ、そう……。よく知っているわね、そういうことを』
『ええ、聞きかじっただけですけど』
『衝撃波って、何?かめはめ波みたいなもの?』
かめはめ波が、どんなものか知りません』

『動機って、よく、警察は動機について調べているってニュースで言ってますよね。でも、あんなの全部、一身上の都合じゃないですか。退学届に理由の欄があるんですけど、そこに書けるのは、就職のためか、一身上の都合の二つなんですよ。友達が、退学するときに、事務の人からそう言われていました。だから、殺人の動機も、金のためか、一身上の都合ののどちらか二択にしたらすっきりしません?』

『ああ、そうか、冤罪とか、ありますね。解決したと思っていても、実は間違いだったっていう』
『そう……。人間は複雑だから』
『複雑?』
『事情を聞いても、本当のことを話しているかどうかわからなあ。本人でさえ、わならないんだ。自分の気持ちも整理がつかない。自分がやったわけではないのに、やりましたと言ってしまう。愛しているのに、殺してしまうこともある。こんなことをしてはいけないとわかっていても、やらずにはいられない』


Xシリーズ5巻目
最終巻6巻の文庫化待ち

Xシリーズは、森ミステリの中で、平凡な人が平凡な事件に関わる最も平凡なシリーズに感じる。でもやっぱり森博嗣感はしっかりある。そこが好き。

スカイ・イクリプス SKy Eclipse /森博嗣

夢を見た。
人を撃つ夢だった。
一人は女。
暗闇の中で十字を切っていた。
もう一人は男。
ネオンの黄色い光が下から照らしていた。
二人とも、撃ってくれと、頼んだのだ。
彼女は引き金を引いた。
躊躇なく。



スカイ・クロラシリーズの短編集。
シリーズ本編の行間を埋めるような内容。

森博嗣のシリーズをひとつ薦めるとしたらこのシリーズと言えるぐらい良かった。

クレイドゥ・ザ・スカイ Cradle the Sky /森博嗣

飛ぶにも、
生きるにも、
軽い方がいい。
空には、軽いものだけが上がってくる。
自由なものだけが上がってくる。
待ってろ。
また、会おう。
また、踊ろう。
自由に。
美しい空で。


一応この巻で本編は一周しました。
残すは短編集のみ。

現実は夢で、夢は現実みたいな話。